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尿路上皮がん:進行した尿路上皮がんのアベルマブによる維持:第3相JAVELIN Bladder 100試験のバイオマーカー解析
Nature Medicine 27, 12 doi: 10.1038/s41591-021-01579-0
進行した尿路上皮がんの患者700人を対象として最近行われた第3相無作為化試験(JAVELIN Bladder 100、NCT02603432)では、アベルマブ/BSC(best supportive care)は、一次化学療法後の維持療法として、BSC単独療法群に比べて全生存期間を有意に延長した。探索的バイオマーカー解析が行われ、生存利益に影響する可能性のある生物学的経路が見つかった。免疫組織化学、全エキソーム塩基配列解読、全トランスクリプトーム塩基配列解読による腫瘍の分子プロファイリングによって、アベルマブの生存利益は腫瘍細胞によるPD-L1発現、腫瘍の変異量、APOBEC変異シグネチャー、自然免疫および適応免疫の活性基盤である遺伝子群の発現、活性化Fcγ受容体の高親和性バリアントをコードする対立遺伝子の数と正の関連があることが明らかになった。組織の増殖や血管新生に結び付けられる経路は、生存利益の低下と関連している可能性がある。個々のバイオマーカーは、治療から利益を受ける可能性のある患者を包括的に明らかにすることはできなかったが、ゲノムの変化、免疫応答、腫瘍増殖を組み込んだマルチパラメーターモデルは有望な予測的有用性を持つことが分かった。これらの結果は、進行した尿路上皮がんで免疫チェックポイント阻害から得られる生存利益の基盤となる複雑な生物学的経路の特徴を明らかにしていて、治療から利益を受ける可能性のある患者を見つけ出すのには複数のバイオマーカーが必要になる可能性を示唆している。