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COVID-19:カタールのSARS-CoV-2デルタ変異株に対するBNT162b2ワクチンおよびmRNA-1273 COVID-19ワクチンの有効性

Nature Medicine 27, 12 doi: 10.1038/s41591-021-01583-4

伝播性の高い重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)デルタ(B.1.617.2)変異株の世界的な拡大に際して、我々は、カタールの集団でのデルタ株感染に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)メッセンジャーRNAワクチンのリアルワールドでの有効性を評価するために、マッチさせた検査陰性者を対照とする症例対照研究を施行した。BNT162b2の有効性は、症候性あるいは無症候性のいずれのデルタ株感染に対しても、初回ワクチン接種後14日目以降は45.3%(95%CI、22.0~61.6%)だったが、2回目接種の14日目以降では51.9%(95%CI、47.0~56.4%)だった。ワクチン接種が完全に終了している人の50%は2021年5月11日以前に2回目の接種を受けていた。これに対応するmRNA-1273の初回または2回目接種の14日目以降の有効性は、それぞれ73.7%(95%CI、58.1~83.5%)と73.1%(95%CI、67.5~77.8%)であった。デルタ株による重症、最重症、もしくは致死的な病状に対する有効性が、2回目接種の14日目以降でBNT162b2では93.4%(95%CI、85.4~97.0%)、またmRNA-1273では96.1%(95%CI、71.6~99.5%)であったことは注目される。カタールの集団での我々の結果は、BNT162b2とmRNA-1273(特にBNT162b2ワクチン)は感染防止の有効性が低いにもかかわらず、デルタ株による入院や死亡の防止に対してはBNT162b2とmRNA-1273の両方が強力な有効性を発揮することを示している。

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