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がん治療:アンドロゲン受容体はエストロゲン受容体陽性乳がんでの腫瘍抑制因子である

Nature Medicine 27, 2 doi: 10.1038/s41591-020-01168-7

エストロゲン受容体(ER)α陽性乳がんでのアンドロゲン受容体(AR)の役割については議論が分かれており、ARを標的とする治療の実施を妨げている。今回我々は、臨床由来の多様な細胞株群と患者由来モデルを用いて、ARの活性化はER阻害剤とCDK4/6阻害剤による標準治療に対する抵抗性など、複数の病態で強力な抗腫瘍活性を示すが、ARの抑制ではこのような影響がないことを明らかにした。さらに、標準治療薬とARアゴニストを組み合わせると、治療応答が強化された。機構的には、アゴニストによるARの活性化は、ERや必須コアクチベーター(p300、SRC-3)のゲノム上の分布を変化させ、その結果としてERが調節する細胞周期遺伝子の抑制や、既知の腫瘍抑制因子を含むAR標的遺伝子の発現上昇を引き起こした。また、AR活性の遺伝子シグネチャーは、複数のER陽性乳がんコホートで疾患生存を正に予測した。これらの知見は、ARがER陽性乳がんで腫瘍抑制因子としての役割を持つことの明確な証拠をもたらし、ARアゴニスト作用は最適なAR指向性治療戦略であることを裏付け、合理的な治療機会を明らかにしている。

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