がん診断:アノテーションが効率化された深層学習手法を用いるマンモグラフィーとデジタル乳房トモシンセシスでのエラーに強い乳がん検出
Nature Medicine 27, 2 doi: 10.1038/s41591-020-01174-9
乳がんは世界的な難題であり、2018年には60万件を超える死亡の原因となっている。乳がんの早期発見を実現するために、世界中の保健機関はスクリーニングマンモグラフィーを推奨しており、この方法は乳がんの死亡率を20~40%減らすと推定されている。スクリーニングマンモグラフィーの有用性は明らかであるものの、偽陽性と偽陰性の割合が大きいことに加えて、熟練した読影医師が必ずしもいるとは限らないため、この方法は質とアクセス性を改善する必要がある。このような制約に対処するために、最近ではマンモグラフィーへの深層学習の適用に関心が集まっており、こうした取り組みから、さらに2つの重要な難問が明らかになってきた。1つはアノテーションされたトレーニング用データを大量に入手することと、もう1つは集団や取得装置、手法の違いを超えた一般化を確立することである。今回我々は、アノテーションが効率化された深層学習手法を示す。この手法は、(1)マンモグラフィー画像分類で最先端の性能を実現し、(2)デジタル乳房トモシンセシス(DBT;「3Dマンモグラフィー」)への拡張が可能で、(3)がん患者の臨床的に陰性とされた以前のマンモグラフィー画像でがんを検出し、(4)スクリーニング率の低い集団に対しても十分に普及可能で、(5)フルタイムの乳房画像専門医5人全員の成績を上回り、感度は14%向上した。この漸進的に訓練される複数事例学習手法は、DBTデータから新たな「MSP(maximum suspicion projection)」画像を作成することで、局在診断に基づく解釈可能性を維持しながら、乳房レベルの標識のみを用いてDBT試験で効果的に訓練される。まとめると、我々の結果は世界中でスクリーニングマンモグラフィーの精度とアクセス性を改善できるソフトウエアの有望性を実証している。