COVID-19:ブースター用量を含めたSARS-CoV-2ワクチンChAdOx1 nCoV-19の第1/2相臨床試験で複数の機能を持つ抗体応答が誘導された
Nature Medicine 27, 2 doi: 10.1038/s41591-020-01179-4
新規なウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による感染を防止するために、190種を超えるワクチンが現在開発中である。動物試験からは、ウイルスのスパイクタンパク質に対する中和抗体は予防と相関している可能性があるが、感染予防には他の抗体機能も重要だろうと考えられている。我々は以前、ウイルスベクターコロナウイルスワクチンChAdOx1 nCoV-19 (AZD1222)の早期免疫原性と安全性について、18~55歳の健康な成人での単盲検第1/2相無作為化比較試験(NCT04324606)で調べた結果を報告した。本論文では、このワクチンの安全性と、液性および細胞性免疫原性の予備的解析について報告する。試験は、前回の試験に参加したボランティアのサブグループで行い、参加者は初回ワクチン接種後56日目に初回と同量(SD/SD D56、n = 20)、あるいは初回の半量(SD/LD D56、n = 32)のChAdOx1ブースターワクチン接種を受けるように割り当てられた。以前に報告された免疫原性のデータ[非盲検で行われ、28日の間隔でプライム・ブーストを受けたグループ(SD/SD D28、n = 10)から得られた]も、比較のために示してある。加えて、コンパレーターワクチン(MenACWY、n=10)でブーストされたボランティアについてのデータも示す。今回の中間報告で我々は、ChAdOx1 nCoV-19のブースター用量は安全であり、初回量よりも忍容性が高いことを示す。またシステム血清学の手法を用いて、抗スパイク中和抗体価に加えて、抗体依存的好中球/単球食作用、補体活性化、ナチュラルキラー細胞活性化などのFc仲介型機能性抗体応答も1回分のブースター量によってかなり増強されることが分かった。1回分のワクチンブースター量は、用量を減らした半量でのブーストよりも強力な抗体応答を誘導したが、T細胞応答の規模は、いずれのブースト用量でも増加しなかった。これらのデータは第3相臨床試験で現在評価されているワクチン2回投与方式を支持するものである。