Letter

COVID-19:サハラ以南のアフリカにわたって起こったSARS-CoV-2アウトブレイクに見られたばらつき

Nature Medicine 27, 3 doi: 10.1038/s41591-021-01234-8

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)パンデミック(世界的大流行)について現在までに分かっている意外な特徴は、サハラ以南のアフリカ(SSA)諸国で報告されているパンデミックの負荷が世界の他の地域と比べて小さいことである。可能性のある説明(例えば、より暖かい環境、若年層が多い人口構成)は、包括的な解析の中ではまだ形となっていない。我々は、SSAで2020年2月25日〜12月20日に、パンデミックの拡大速度と負荷を推し進める可能性のある要因(ドライバー要因)を統合的に解析した。このような要因は、人口統計学、併存疾患、気候、医療のキャパシティー、介入努力、ヒトの移動というリスクの6つの次元を包含している。見込みのありそうなドライバー要因に大きなばらつきがあることは、低所得層と中所得層にわたってデータを収集した解析は解釈の際に注意が必要であることを示している。我々のシミュレーションから、SSAの人口集中地の間での気候のばらつきはアウトブレイク(集団発生)の初期の進行にほとんど影響を与えないことが分かった。しかし、接続性が不均一であることは、ほとんど考慮されないが、SSA全域にウイルスが広がる速度に差があることの重要な一因である可能性がある。我々の統合的解析から、パンデミック進行中にサーベイランスシステムを状況特異的に適応させることに利点がある可能性が示された。特に、併存疾患の有病率が高く、医療へのアクセスがほとんどない状況では、年齢よりも重症度のパターンの特徴解明を優先すべきだろう。接続性の低さが、長期間続く非同期のアウトブレイクを引き起こして医療システムに長期的なストレスを与える可能性がある状況では、アウトブレイクの空間的範囲の解明に重点を置くべきである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度