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パーキンソン病:自家移植療法はパーキンソン病のサルで運動症状とうつ症状を軽減する
Nature Medicine 27, 4 doi: 10.1038/s41591-021-01257-1
中脳のドーパミン(DA)ニューロンの変性は、パーキンソン病(PD)の病理発生の基盤である。L-DOPAを介したDAの補充は運動症状を軽減するが、DAニューロンの進行性喪失は防止しない。非ヒト霊長類で行われたものを含む多数の実験的研究から、動物では胎児中脳組織の移植が運動症状を改善することが実証され、その結果としてPDでの胎児組織移植の非盲検臨床試験や二重盲検臨床試験が行われた。一貫した結果は得られなかったが、それはドナー組織の性質が定義付けられておらず標準化されていなかったことが主な原因である。PDでの標準化された自家移植療法は、誘導多能性幹細胞の作製により可能になっている。しかし、その有効性は、特に霊長類でまだはっきりしていない。我々は、自家組織の移植を受けたPDサルでは、免疫抑制を行わずに2年間を超えて運動症状およびうつ症状の回復が見られたが、同種異系移植では見られなかったことを報告する。これらの行動的改善は、DAニューロン軸索の広範な増殖と陽電子放出断層撮影(PET)での強いDA活性を示すロバストな移植片に伴って起こった。数学的モデル化から、自家移植または同種異系移植には関係なく、PETシグナルを示す生存DAニューロンの数と行動的回復の間の相関が明らかになり、生存しているDAニューロン数をPETと運動症状から予測できる可能性が示唆された。