Perspective
マイクロバイオーム:公衆衛生におけるマイクロバイオーム研究の枠組み
Nature Medicine 27, 5 doi: 10.1038/s41591-021-01258-0
ヒトのマイクロバイオームの科学的研究は急速に進展し、基礎生物学、臨床へのトランスレーション、公衆衛生の研究が徐々に統合される規模に達している。そして今、公衆衛生の研究者や医療従事者、政策立案者たちは、マイクロバイオームが使える現在や将来の好機を捉え、最良の方法を実行して、具体的な行動に移すことが可能となっている。本稿では、ヒトマイクロバイオームと公衆衛生についての研究、教育、解釈、科学コミュニケーションに関する考察の概要を示す。これには、集団規模でのマイクロバイオーム研究の設計、必要となる物理的プラットフォームや解析方法、公衆衛生分野(疫学、栄養学、慢性疾患、世界規模や環境規模の衛生学など)への統合、起業や技術移転、教育カリキュラムに対するガイドラインが含まれている。近い将来においては特に、マイクロバイオームをベースとする技術を公衆衛生活動に組み込む機会が生じると考えられ、またプレバイオティクスやプロバイオティクスのサプリメント、新しい生細胞療法、糞便微生物相移植といった関連分野周辺での政策決定や規制の必要性が高まるだろう。