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ランゲルハンス細胞組織球症:BRAFV600Eによって誘導される老化はランゲルハンス細胞組織球症の病態を促進する

Nature Medicine 27, 5 doi: 10.1038/s41591-021-01304-x

ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は、特徴的なクローン性の単核食細胞(MNP)を伴う肉芽腫性病変を特徴とし、致命的となる可能性のある疾患で、このMNPはマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の遺伝子を活性化する体細胞変異(多くの場合BRAFV600E)を有する。我々は最近、BRAFV600E変異が、多系統LCH疾患で多能性の造血前駆細胞(HPC)にも影響を及ぼすことを見いだした。しかし、HPCのBRAFV600E変異が、どのようにLCHにつながるのかは不明である。今回我々は、マウスとヒトの初期多能性HPCでのBRAFV600E変異の強制発現が老化プログラムを誘導し、これがHPCの増殖停止やアポトーシス抵抗性、老化関連分泌表現型(SASP)につながることを示す。SASPは、次いでHPCの分化をMNP系譜へ偏らせるように促し、それが組織内での老化したMNPの集積やLCH病変の形成を引き起こす。そこで、INK-ATTACトランスジェニックマウスを用いた老化細胞の除去や、SASPの薬理学的遮断を行うと、マウスでLCHの病態が改善した。これらの結果は、老化細胞がLCH治療の新たな標的であることを明らかにしている。

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