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アルツハイマー病:アルツハイマー病で明らかになったタウ蓄積の4つの異なる経路

Nature Medicine 27, 5 doi: 10.1038/s41591-021-01309-6

アルツハイマー病(AD)は、大脳皮質全体にわたるタウ病変の広がりを特徴とする。この広がりのパターンは患者間でかなり一致していると考えられていたが、最近の研究によってAD患者集団内で相当の変動が見られることが示された。我々は、AD患者1612人のタウ陽電子放射断層撮像を使い、タウ病変の広がりには4種類の異なる時空間的経路があることを突き止めた。4種類それぞれの罹患率は18~33%であった。我々は以前に報告されている大脳辺縁系が多いパターンと、内側側頭葉が少ないパターンを再現し、一方で側頭葉後側と側頭葉外側に分布するパターンを見いだした。これら2つはADの非定型バリアントに類似していた。このような「サブタイプ」は時間を追った経過観察中は安定であり、また別の試料で異なる放射性トレーサーを用いて再現された。サブタイプはそれぞれ、他とは明確に異なる人口統計学的プロファイルと認知能のプロファイルを示し、長期的転帰も異なっていた。さらに、ネットワーク拡散モデルから、病変はサブタイプごとに異なる皮質辺縁ネットワークを経て発生し拡散することが示唆された。まとめると、今回の研究成果は、タウ病変で観察される変動が共通かつ系統的なものであることを示唆していて、「典型的AD」という概念の再検討やタウ病変の段階付けを再考することの根拠となるだろう。

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