がん治療:進行性尿路上皮がんでのデュルバルマブと標的療法薬との併用についてのバイオマーカー選択による適応的プラットフォーム研究
Nature Medicine 27, 5 doi: 10.1038/s41591-021-01317-6
デュルバルマブはPD-L1(programmed death-ligand 1)の阻害剤で、進行尿路上皮がん(AUC)で臨床活性を示す。AUCは、頻発する複数の標的化可能なゲノム変化を特徴とする。本研究(NCT02546661、BISCAY)では、バイオマーカー選択された化学療法抵抗性のAUC集団で、デュルバルマブと検出されたゲノム変化に対応する標的療法薬との併用について検討した。調べられたのは(1)繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のDNA変化(FGFRm)を持つ腫瘍でのFGFR阻害剤、(2)DNAの相同組換え修復異常(HRRm)を持つ腫瘍および持たない腫瘍でのポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)の薬理学的阻害剤、(3)mTOR/PI3K経路のDNA変化を持つ腫瘍でのTORC1/2阻害剤である。この試験では、新しい、バイオマーカー選択による、多群適応的デザインを採用した。安全性、有効性に加えて、関連するバイオマーカーが評価された。全部で391人の患者がスクリーニングされ、そのうちの135人がこの試験の6群のうちの1つに割り付けられた。奏効率(RR)は、研究群全体で9~36%の範囲であり、さらなる開発のための有効性基準を満たさなかった。全生存率(OS)と無増悪生存率(PFS)は、併用療法群とデュルバルマブ単剤療法群で同程度であった。バイオマーカー解析から、血漿ベースの循環血中腫瘍DNA(ctDNA)とFGFRmが見られる組織との間の相関が明らかになった。循環血中腫瘍DNAの連続解析では、FGFRmへの変化が臨床転帰と相関することが分かった。我々のデータでは、FGFR阻害やデュルバルマブ単剤療法の臨床活性は裏付けられたが、併用療法のいずれについても臨床活性の増強は見られなかった。これらの知見は、AUCでの標的化/免疫療法の使用に疑問を投じている。 N & V p.761