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人工知能/心電図:駆出率が低い患者を識別するための人工知能対応心電図:実践的無作為化臨床試験

Nature Medicine 27, 5 doi: 10.1038/s41591-021-01335-4

我々は、心電図(ECG)を基盤とし人工知能(AI)を備えた臨床的意思決定支援ツールが、過小診断されているが治療可能な病状である駆出率(EF)低下を早期診断できるかどうかを評価する目的で、実践的臨床試験を行った。この臨床試験(NCT04000087)では、45の診療所あるいは病院の120の一次診療チームが、介入群(AIによる結果を利用する;181人の臨床医)あるいは対照群(通常の診療;177人の臨床医)のいずれかにクラスター無作為化された。ECGは、事前に心不全が見られなかった総数2万2641人の成人(介入群N = 11,573、対照群N = 11,068)で日常的な診療の一部として測定された。主要評価項目は、ECG検査を受けてから90日以内にEF低下(≤ 50%)と新規診断されることであった。この試験はあらかじめ指定された主要評価項目を満たし、この介入によりコホート全体でEF低下の診断が増加したこと[対照群で1.6%に対して介入群で2.1%、オッズ比(OR)1.32(1.01~1.61)、P = 0.007]、また、EF低下の可能性が高いと診断された患者(AI-ECG陽性;コホート全体の6%)が増加したこと[対照群で14.5%に対して介入群で19.5%、OR 1.43(1.08~1.91)、P = 0.01]が実証された。コホート全体では、心エコー図の利用は2つの群間で同程度であった(対照群で18.2%に対して介入群で19.2%、P = 0.17)。AI-ECG陽性の患者では、心エコー図が対照群よりも介入群で多く測定された(対照群で38.1%に対して介入群で49.6%、P < 0.001)。これらの結果は、ECGを基盤とするAIアルゴリズムの使用により、日常的な一次診療という設定の下で患者のEF低下の早期診断が可能になることを示している。

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