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COVID-19:イスラエルでの全国民予防接種プログラム後のCOVID-19の動態
Nature Medicine 27, 6 doi: 10.1038/s41591-021-01337-2
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防のためのBNT162b2ワクチンの実際の生活への影響についての研究は、緊急に必要である。今回我々は、2020年8月28日から2021年2月24日の間にイスラエル保健省が収集したデータの後ろ向き解析を行い、2020年12月20日に開始したワクチン接種キャンペーン後の新規COVID-19感染症例と入院者数の時間的動態を調べた。症例や入院に及ぼすワクチン接種の影響と考えられるものを、2021年1月8日に実施された3回目のロックダウンなどの他の要因と区別するために、いくつかの比較を行った。それらは(1)最初にワクチン接種を優先して受けた60歳以上の人とそれより若い年齢集団の比較、(2)2021年1月のロックダウンと2020年9月のロックダウンの比較、(3)ワクチン接種が早かった都市と遅れた都市の比較である。COVID-19症例と入院者数のより大規模で早期の減少が観察されたのは60歳以上の高齢者で、次いでそれより若い年齢集団、ワクチンの優先的接種の順となった。この減少パターンは2020年9月のロックダウンでは観察されず、また早期にワクチン接種がなされた都市でより顕著であった。我々の解析は、実社会で全国民ワクチン接種キャンペーンがパンデミック(世界的大流行)の動態に及ぼす影響を明らかにしている。