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アルツハイマー病:血漿中のリン酸化タウと他の利用可能な計測値を組み合わせて将来のアルツハイマー病型認知症を予測する

Nature Medicine 27, 6 doi: 10.1038/s41591-021-01348-z

血漿中リン酸化タウ(P-tau)と他の利用可能なバイオマーカーを組み合わせることで、アルツハイマー病(AD)型認知症の発症リスクの正確な予測ができるかもしれない。これについて、我々はBioFINDER研究(n = 340)とADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)研究(n = 543)の主観的認知機能低下や軽度認知障害のある参加者で調べた。ADへの進行を最終結果として、血漿P-tau、血漿Aβ42/Aβ40、血漿中ニューロフィラメント軽鎖、APOE遺伝子型、簡易認知機能試験、AD特異的な磁気共鳴画像の計測値が調べられた。BioFINDER研究では、血漿P-tau217は、4年以内のADを正確に予測した[曲線下面積(AUC) = 0.83]。血漿P-tau217と記憶力、実行機能、APOE遺伝子型を組み合わせると、より高い精度が得られた(AUC = 0.91、P < 0.001)。ADNIでは、このモデルで血漿P-tau217の代わりに血漿P-tau181を用いて、同様のAUC(0.90)が得られた。さらに、このモデルはADへの進行の個人ごとの確率を予測するためにオンラインに実装された。2年から6年までは、同じようなモデルで、両方のコホートでのAUCは0.90~0.91だった。血漿バイオマーカーの代わりに、脳脊髄液中のP-tau、Aβ42/Aβ40、ニューロフィラメント軽鎖を用いても、正確度の大きな改善は見られなかった。認知症専門医による臨床予測の正確度は大幅に低かった(4年間のAUC = 0.71)。まとめると、血漿P-tauを簡易認知機能試験やAPOE遺伝子型解析と組み合わせることで、ADの診断予測が大幅に改善され、AD治験への動員が促進される可能性がある。

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