前立腺がん:前立腺がん患者での治癒目的の放射線治療のための機械学習の臨床への組込み
Nature Medicine 27, 6 doi: 10.1038/s41591-021-01359-w
機械学習(ML)は医療介護提供に大きな影響を与えると期待されている。しかしこれまでのところ、ほとんどの方法が、実際の臨床業務に影響を与える要因を再現できない「シミュレーションされた」環境で検討されている。我々は、臨床ワークフローに完全に組み込まれた盲検直接比較試験で、前立腺がん治癒を目的とする放射線療法(RT)の治療計画のためのランダムフォレストアルゴリズムを前向きに使い評価した。MLおよび人間がそれぞれ作成したRT治療計画は、再検討による後向きシミュレーション(n = 50)と前向き臨床使用(n = 50)で直接比較された。この研究段階を通じて一貫して、治療を行う医師は、事前に定めた標準化された基準と相互評価過程に従って、盲検方式でMLおよび人間が作成したRT治療計画を評価し、前向き段階では選択されたRT計画を患者の治療に提供した。全体として、MLが作成したRT計画の89%が臨床的に許容可能であると見なされ、またそのうちの72%が人間の作成したRT計画との直接比較で選択された。MLを用いたRT計画では、RT計画過程全体に必要な時間の中央値が60.1%(118時間が47時間に)短縮された。シミュレーション段階と展開段階の間で、MLが作成したRT計画の許容可能性は安定していたが(それぞれ92%に対して86%)、MLが作成したRT計画が治療に選択される数は大きく減少した(それぞれ83%に対して61%)。これらの知見は、MLによる方法の後向き、つまりシミュレーションされた評価は、専門家による盲検評価であっても、患者のケアが危機に瀕している実際の臨床状況でのアルゴリズム受け入れの例とはならない可能性を明らかにしている。