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COVID-19:中和抗体の産生遅延は致死的なCOVID-19と関連している
Nature Medicine 27, 7 doi: 10.1038/s41591-021-01355-0
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)での自然免疫および適応免疫の動態についての手掛かりは、最近の研究によってもたらされた。しかし、COVID-19の疾患転帰を支配する抗体応答の正確な特徴は分かっていない。本研究では、無症候性、軽度、中等度、重度のCOVID-19の患者229人で液性免疫応答を経時的に解析し、疾患の重症度と死亡における抗体応答の性質を調べた。抗スパイク(S)免疫グロブリンG(IgG)レベル、入院期間、予後の悪化に関連する臨床パラメーターの間に相関が観察された。高い抗S IgGレベルは疾患重症度の悪化と相関したが、このような相関は時間依存的であった。死亡した患者では、全体的な液性応答が退院した患者に比べて高いことはなかった。しかし、死亡した患者は、抗Sレベル、抗受容体結合ドメインIgGレベル、中和抗体(NAb)レベルで測定された応答が、生存者に比べてロバストであるが、遅延していた。また、死亡患者では、抗体陽転の遅延がウイルス量の制御低下と相関していた。さらに、85%の患者の血清は、疾患経過中にある程度の中和能力を示したものの、発症から14日経過する前のNAb産生が回復の重要な要因であることが明らかになった。これらのデータは、COVID-19での死亡が、横断的な抗ウイルス抗体レベル自体とは相関しておらず、NAb産生速度の遅延と相関していることを示している。