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肥満治療:重度肥満とメタボリックシンドロームの患者での糞便微生物移植と繊維摂取:無作為化二重盲検プラセボ対照第2相試験

Nature Medicine 27, 7 doi: 10.1038/s41591-021-01399-2

痩せたドナーから肥満症患者への糞便微生物移植(FMT)は代謝に有益だとされてきたが、これまでのところ一貫した結果は得られていない。本研究では、心臓代謝の転帰を調節するためのFMT療法の補助として行った毎日の繊維摂取の妥当性について調べた。我々は、FMT経口投与を受けている重度肥満とメタボリックシンドロームの患者で無作為化二重盲検試験を行い、高発酵性(HF)と低発酵性(LF)の繊維摂取について検証した(NCT03477916)。70人の参加者は、FMT-HF(n = 17)、FMT-LF(n = 17)、HF(n = 17)、LF(n = 19)のグループに無作為に分けられた。主要評価項目はベースラインから6週間後までのインスリン感受性の変化とし、ホメオスタシスモデル評価(HOMA2-IR/IS)を用いて評価した。6週間後、FMT-LF群の患者にだけ、HOMA2-IRに有意な改善が認められた(6週目3.16 ± 3.01に対して基準値3.77 ± 3.57、P = 0.02)。FMT-HF群(6週目3.25 ± 1.70に対して基準値3.17 ± 1.72、P = 0.8)、HF群(6週目3.49 ± 1.43に対して基準値3.26 ± 1.33、P = 0.8)、LF群(6週目3.76 ± 2.01に対して基準値3.56 ± 1.81、P = 0.8)では、この期間にHOMA2-IRに差が見られなかった。介入は安全で耐容性が高く、治療に起因する重篤な有害事象は起きなかった。以上の結果は、FMTの単回経口投与と毎日の低発酵性繊維摂取との組み合わせが、重度の肥満とメタボリックシンドロームの患者でのインスリン感受性を改善するという考え方の概念実証である。

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