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心疾患:駆出率が保持された心不全でのピルフェニドン:無作為化第2相試験
Nature Medicine 27, 8 doi: 10.1038/s41591-021-01452-0
駆出率が保持された心不全(HFpEF)では、心筋繊維症の発生が有害転帰と関連している。しかし、血行動態に影響のない経口抗繊維化薬であるピルフェニドンが、HFpEFの治療に有効かつ安全であるかどうかは分かっていない。この二重盲検第2相試験(NCT02932566)で、我々は駆出率が45%以上でナトリウム利尿ペプチドレベルの上昇した心不全患者を登録した。適格患者に対して心血管磁気共鳴検査を行い、心筋繊維症の証拠がある患者(心筋細胞外容積が27%以上と定義した)を、ピルフェニドンまたはプラセボの投与を52週間受けるように無作為に割り当てた。47人の患者が、ピルフェニドン群とプラセボ群のどちらかに無作為に割り当てられた。主要評価項目は、基準値から52週間までの心筋細胞外容積の変化とした。ピルフェニドンは、プラセボと比較した場合、心筋細胞外容積を減少させ(群間で−1.21%、95%信頼区間−2.12~−0.31、P = 0.009)、事前に定義した主要評価項目を満たした。ピルフェニドン群の患者12人(26%)とプラセボ群の患者14人(30%)で、1つ以上の重篤な有害事象が生じた。ピルフェニドン群で最も広く見られた有害事象は、吐き気、不眠症と発疹だった。結論としては、HFpEFと心筋繊維化症が見られる患者での52週間のピルフェニドン投与は心筋繊維症を軽減させた。HFpEF患者でのピルフェニドンの有益な効果は、今後の試験で確認する必要がある。