糖尿病:透析が必要な2型糖尿病成人患者での完全自動化クローズドループによるグルコース管理と標準的インスリン療法との比較:非盲検無作為化クロスオーバー試験
Nature Medicine 27, 8 doi: 10.1038/s41591-021-01453-z
本論文では、透析を必要とする2型糖尿病成人患者で、完全クローズドループインスリン療法の安全性と有効性を標準的なインスリン療法と比較し、評価した。非盲検多国籍2施設無作為化クロスオーバー試験で、透析が必要な2型糖尿病成人患者26人[男性17人、女性9人、平均年齢68 ± 11歳(平均 ± s.d.)、糖尿病罹患期間は20 ± 10年]を対象に、無制限の生活下で、速効型インスリンアスパルトを用いるケンブリッジ完全クローズドループシステム(「クローズドループ」)と、マスクした持続グルコース測定を伴う標準的なインスリン療法(「対照」)をランダムな順序で20日間ずつ行い、効果を比較した。主要評価項目は治療域のグルコース濃度(5.6~10.0 mmol/l)にある時間であった。先にクローズドループの治療を受けた参加者が13人、先に対照治療を受けた参加者が13人であった。治療域のグルコース濃度にある時間の割合(5.6~10.0 mmol/l、主要評価項目)は、クローズドループが52.8 ± 12.5%であるのに対して、対照が37.7 ± 20.5%であり、平均差は15.1パーセントポイントであった(95% CI 8.0~22.2、P < 0.001)。平均グルコース濃度はクローズドループの方が対照より低かった(10.1 ± 1.3対11.6 ± 2.8 mmol/l、P = 0.003)。低血糖(< 3.9 mmol/l)となる時間はクローズドループが対照より少なかった[中央値(IQR)0.1(0.0~0.4%)対0.2(0.0~0.9%)、P = 0.040]。対照治療期間中に重度の低血糖事象は生じなかった。しかし、クローズドループ期間中には重度の低血糖事象が1回生じたが、クローズドループ操作中ではなかった。透析が必要な2型糖尿病の成人外来患者では、完全クローズドループが、標準的なインスリン療法よりも、グルコース管理の向上と低血糖の減少を示した。試験登録番号はNCT04025775である。