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COVID-19:カタールでのB.1.1.7およびB.1.351変異株と重症COVID-19疾患に対するmRNA-1273 COVID-19ワクチンの有効性

Nature Medicine 27, 9 doi: 10.1038/s41591-021-01446-y

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のパンデミック(世界的大流行)は継続しており、世界的な健康問題となっている。mRNA-1273(モデルナ社製)ワクチンは、無作為化臨床試験で「野生型」変異株による症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染の予防に94.1%の有効性を示すと報告された。我々は、このワクチンのSARS-CoV-2の「懸念される変異株」、特にB.1.1.7(アルファ)株とB.1.351(ベータ)株に対する現実世界での有効性を、カタールの主に労働年齢の成人からなる集団で、マッチさせた検査陰性者を使うように設計された症例対照研究を用いて評価した。ワクチンの有効性は、初回接種後2週間ではほとんど見られなかったが、2回目接種直前に当たる3週目と4週目に急速に上昇した。B.1.1.7感染に対する有効性は、初回接種後14日以降だが2回目接種直前という期間で88.1%[95%信頼区間(CI):83.7~91.5%]であり、2回目接種後14日目以降で100%(95%CI:91.8~100.0%)だった。B.1.351感染に対する有効性はこれと類似していて、初回接種後61.3%(95% CI:56.5~65.5%)であるのに対して、2回目接種後は96.4%(95%CI:91.9~98.7%)であった。全てのSARS-CoV-2感染(主にB.1.1.7とB.1.351)による、重症で非常な重体あるいは致命的なあらゆるCOVID-19疾患に対する有効性は、初回接種後は81.6%(95%CI:71.0~88.8%)、2回目接種後は95.7%(95% CI:73.4~99.9%)であった。mRNA-1273ワクチンは、症候性あるいは無症候性には関係なく、B.1.1.7とB.1.351感染に対して、またCOVID-19によるあらゆる入院や死亡に対しても、一回接種後でさえ、非常に高い有効性を示した。

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