Brief Communication
COVID-19:ChAdOx1 nCoV-19ワクチンとmRNA型ワクチンを組み合わせた異種混合接種後の免疫原性と反応原性
Nature Medicine 27, 9 doi: 10.1038/s41591-021-01464-w
ChAdOx1 nCoV-19ベクター型ワクチンで初回接種によるプライミングを行った後にメッセンジャーRNA型ワクチン(BNT162b2あるいはmRNA-1273)によってブースト接種を行うという異種混合接種は、ドイツでは現在推奨されているが、免疫原性や反応原性についてのデータが得られていない。本観察研究では、健常成人(n = 96)では異種ワクチン混合接種法がスパイク特異的IgG、中和抗体およびスパイク特異的CD4 T細胞を誘導し、その程度は1回目と同種のベクター型ワクチンによるブーストを受けた場合(n = 55)よりも有意に高く、mRNA型ワクチンによる同種の2回接種(n = 62)を受けた場合よりも高いか、同程度であったことを示す。さらに、異種ワクチン混合接種後のスパイクタンパク質特異的CD8 T細胞のレベルは、いずれのワクチンを同種2回接種した場合よりも有意に高かった。スパイク特異的T細胞は大部分が多機能であり、3つの接種法の全てでサイトカイン産生の表現型はおおむね重複していた。ベクター型同種2回接種およびベクター型とmRNA型の異種混合接種のどちらの被接種者も、ベクター型ワクチン初回接種後の反応原性がより大きかったが、異種混合ブースト接種は耐容性が良く、mRNA型ワクチンの同種接種によるブーストと同程度であったことを報告している。まとめると、ベクター型接種後のmRNA型ワクチンによるブーストという異種混合方式は、許容できる反応原性プロファイルを持ち強力な液性免疫応答と細胞性免疫応答を誘導するといえる。