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個別化医療:健常者での疾患の可能性を定量化するための個別化臨床検査モデル
Nature Medicine 27, 9 doi: 10.1038/s41591-021-01468-6
標準化された臨床検査は、患者の評価、鑑別診断と治療に重要である。それにもかかわらず、このようなデータの解釈には、定量的で個別化された測定基準がまだない。今回我々は、18年間にわたって280万人の成人で行われた92の異なる臨床検査の21億回の計測結果のモデル化について報告する。我々は、131例の慢性疾患と5223例の薬剤–検査対を対象に教師なしフィルタリングした後に、健常者で臨床検査分布のバーチャル調査を行った。年齢と性別だけでは、92の検査のうちの89で、検査の正常な範囲内のばらつきの10%未満しか説明されなかった。患者の病歴に基づいた個別化モデルは、17の検査についてばらつきの60%を、検査の半分に対しては36%以上を説明した。これにより、将来の異常な検査レベルや、その後の疾患発症に対するリスクを体系的に層別化することが可能になる。正常な範囲内の臨床検査の多変量モデル化は、患者の定量的評価の基盤として容易に実装することができる。