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糖尿病:2型糖尿病でのエキセナチドの皮下注入と心血管転帰:非劣性無作為化対照試験

Nature Medicine 28, 1 doi: 10.1038/s41591-021-01584-3

GLP-1受容体作動薬(glucagon-like peptide 1 receptor agonist;GLP-1RA)の定期的注射では心血管系事象のリスクが増加しないことが示されており、このクラスの薬剤の一部はリスクを低下させる。GLP-1RAであるエキセナチド(ITCA 650)を持続的に皮下注入した際の心血管系の安全性については不明である。今回我々は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を発症している、またはそのリスクのある2型糖尿病患者を、ITCA 650投与群またはプラセボ投与群に無作為に割り当て、承認前試験(NCT01455896)で心血管系の安全性を評価した。複合主要評価項目は、心血管系疾患による死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、もしくは不安定狭心症による入院とした。米国食品医薬品局による2008年のガイダンスに基づいて、ハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)の上限に対して1.8の非劣性マージンが用いられた。4156人の患者を無作為的に振り分け(2075人はITCA 650投与群、2081人はプラセボ投与群とした)、中央値16か月で追跡した。主要評価項目は、ITCA 650投与群の患者では4.6%(95/2075)、プラセボ投与群の患者では3.8%(79/2081)で起こり、事前に指定した非劣性基準(HR = 1.21、95%CI 0.90~1.63、Pnon-inferiority = 0.004)を満たした。重篤な有害事象は、2群間で同程度だった。有害事象はプラセボ投与群(63.9%、1325/2070)よりもITCA 650投与群の方が多く(72%、1491/2074)、これは主にITCA 650で消化器系の事象や疾患が増加したことによる。ASCVDの併発やASCVDのリスクのある2型糖尿病患者では、ITCA 650はプラセボに対して非劣性だった。この集団でのITCA 650の心血管系への影響をより正確に特徴付けるには、もっと大規模かつ長期にわたる心血管アウトカム試験が必要である。

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