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COVID-19:パンデミック初年度に英国でCOVID-19とPIMS-TSで入院した小児と若年者でのPICU入院と死亡に対するリスク因子

Nature Medicine 28, 1 doi: 10.1038/s41591-021-01627-9

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による重篤な感染に対して最も脆弱な小児・若年者(CYP)を明らかにすることは、保護的介入の指標とするために重要である。我々はこの問題に取り組むために、英国での2019年2月1日から2021年1月31日までの0~17歳の全入院データを用い、社会人口学的要因と併存疾患が、以下の原因、すなわち、パンデミック(世界的大流行)初年度(2020~2021年)中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)および一時的にSARS-CoV-2と関連する小児多系統炎症性症候群(PIMS-TS)、2020~2021年の他の全ての非外傷性原因による入院、2019~2020年の全ての非外傷性原因による入院、2019~2020年のインフルエンザによる入院の中での小児集中治療室(PICU)入院に対して、どのようなリスク因子となり得るかを調べた。COVID-19やPIMS-TSによるPICU入院と死亡のリスクは、CYPでは非常に低かった。COVID-19による入院は6338件が明らかになり、そのうちの259件がPICUに入院し、死亡したCYPは8人だった。PIMS-TSによる入院は712件が明らかになり、そのうち312例がPICUに入院し、CYPの死亡例は5件未満だった。COVID-19とPIMS-TSによる入院は、男性や年長のCYPに多く、特に社会経済的に貧しい地域や、非白人種(黒人、アジア系、混血、その他)でより多く見られた。PICU入院のオッズは、生後1か月未満のCYPで増加し、COVID-19に罹患した1~4歳と比較すると15~17歳で減少し、年長CYPやPIMS-TS罹患女性で増加し、COVID-19患者やPIMS-TS患者では白人に比べて黒人で増加した。COVID-19でのPICU入院のオッズは、共存疾患のあるCYPで増加し、複数の医学的問題を抱えるCYP患者で最も高かった。COVID-19でさまざまな共存疾患と関連したPICU入院のオッズの増加は、調べた他の入院原因と同様のパターンを示し、従って、背景にある脆弱性を反映している可能性がある。以上の知見は、COVID-19やPIMS-TSに罹患したCYP患者でPICU入院と関連する別個のリスク因子を明らかにしており、これらは治療戦略や予防戦略に役立つ可能性がある。

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