リンパ腫:再発性もしくは難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫でのチサゲンレクルユーセルおよびアキシカブタゲン シロルユーセルCAR T細胞のリアルワールド比較
Nature Medicine 28, 10 doi: 10.1038/s41591-022-01969-y
アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)とチサゲンレクルユーセル(tisa-cel)は共に、再発性/難治性(R/R)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で目覚ましい臨床活性が実証されている。本研究では、市販のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞(axi-celまたはtisa-cel)による2回以上の治療ラインを経験し、フランスのDESCAR-T後ろ向きレジストリー研究(NCT04328298)に登録された809人のR/R DLBCL患者の転帰を解析した。1:1の傾向スコアマッチング(n = 418)の後、最高の全奏効率/完全奏効率(ORR/CRR)は、axi-cel治療を受けた患者では80%/60%だったのに対して、tisa-cel治療では66%/42%だった(ORRおよびCRRの比較について、どちらもP < 0.001)。追跡期間(中央値11.7か月)後の1年無増悪生存率は、axi-celで46.6%、tisa-celで33.2%だった〔ハザード比(HR) = 0.61、95%信頼区間(CI)、0.46–0.79、P = 0.0003〕。axi-cel注入後の全生存期間(OS)も、tisa-cel注入後に比べると有意に改善された(1年OS 63.5%対48.8%、HR = 0.63。95% CI、0.45–0.88、P = 0.0072)。逆確率重み付け(IPTW)統計手法を用いた場合も、同様の知見が得られた。グレード1–2のサイトカイン放出症候群は、tisa-celに比べてaxi-celで有意に頻度が高かったが、グレード3以上では有意差は見られなかった。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)については、グレード1–2とグレード3以上のどちらでも、ICANSはtisa-celよりもaxi-celで有意に頻度が高かった。まとめると、我々のマッチング比較研究は、R/R DLBCLの3回目以降の治療ラインでは、axi-celはtisa-celに比べて有効性も毒性も高いことを裏付けている。