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リスク評価:証明責任の研究 ─ リスクの証拠を評価する

Nature Medicine 28, 10 doi: 10.1038/s41591-022-01973-2

一生の間リスクに曝露されることによって生じる結果はさまざまである。これらのリスクが個人や集団の健康に及ぼす相対的な影響を客観的に判断することは、個人の生存や社会の繁栄の根本に関わっている。このような非常に多くの影響の大きさや、それらを推定する際の不確実性を定量化してランク付けする既存の方法はおおむね主観的であり、解釈の余地が残っていて、それが学術論争をあおり、リスクが伝達される際に混乱を増すことがある。今回我々は、これらの方法論的問題の客観的かつ定量的な評価に役立つように特別に設計し、証明責任研究(Burden of Proof studies)と命名した新しい一連のメタ解析について示す。データ駆動型のこの手法はGRADEやCochrane Reviewsなどの既存のシステムを補完するものであり、我々はこの手法を用いて複数の研究から証拠を集約し、リスクと結果を対にして定量的な比較を可能にすることを目指している。我々はまた、利用可能なデータと両立する帰無仮説に最も近いリスクレベルを推定する証明責任リスク関数(BPRF:burden of proof risk function)を導入した。ここでは、リスクと結果の対について、代表的な4つの例すなわち喫煙と肺がん、収縮期血圧と虚血性心疾患、野菜の摂取と虚血性心疾患、未加工赤肉の摂取と虚血性心疾患について評価するためのBPRFによる方法を示す。それぞれの対の関係性に対する証拠の強さをBPRFの計算と要約を行うことで評価してから、要約をさらに簡略化して星の数による評価に変換する。証明責任研究という方法は、多様なリスクにわたってリスクの証拠を理解、評価し、要約するための一貫した方法をもたらし、世界の疾病・傷害負荷およびリスク要因研究(GBD:Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study)の一環として行われるリスク解析に情報を提供するものだ。

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