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心機能障害:駆出率が保持された心不全と駆出率低下が中程度の心不全におけるエンパグリフロジンの有効性 ─ EMPEROR-Preservedの事前設定解析

Nature Medicine 28, 12 doi: 10.1038/s41591-022-02041-5

EMPEROR-Preserved試験では、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGCT2)の阻害剤であるエンパグリフロジンが、左室駆出率(LVEF)が40%より高い心不全患者で、心血管死もしくは心不全による入院(HHF)のリスクを有意に低下させることが明らかにされた。今回我々は、LVEFによって層別化されたこれらの患者〔駆出率保持( ≥ 50%)(n = 4005、66.9%)と中程度の低下(41–49%)〕を別々に評価した事前設定解析の結果について報告する。LVEFが50%以上の患者では、プラセボと比較した場合、エンパグリフロジンは主要評価項目である心血管死とHHFのリスクを17%低下させた〔ハザード比(HR)0.83、95%信頼区間(CI):0.71–0.98、P = 0.024)〕。主な副次評価項目である総HHFに対するHRは0.83だった(95%CI、0.66–1.04、P = 0.11)。LVEFが41–49%の患者でのエンパグリフロジン対プラセボのHRは、主要評価項目については0.71(95%C:0.57–0.88、P = 0.002、Pinteraction = 0.27)、総HHFについては0.57(95%CI:0.42–0.79、P < 0.001、Pinteraction = 0.06)だった。これらの結果は、LVEFが40%未満の患者でのEMPEROR-Reduced試験の結果と合わせて、心不全で見られる全範囲にわたるLVEFに対するエンパグリフロジンの使用を支持している。

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