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生殖補助医療:胚盤胞期胚の移植後に出生した子どもでの白血球テロメア長
Nature Medicine 28, 12 doi: 10.1038/s41591-022-02108-3
周産期および小児期の生殖補助医療(ART)に関連付けられた有害転帰が報告されているが、最初の白血球テロメア長(LTL、その後の生活で加齢に関連する表現型の指標になる)がARTによって影響を受けているかどうかは分かっていない。今回我々は、ARTによる妊娠での出生児202人と、中国の国家出生コホートに属する2つのセンターの自然妊娠による出生児205人を含む、365家族の1137人のLTLを、全ゲノム塩基配列解読(WGS)データを用いて推定した。1歳の時点で、ARTによる妊娠の出生児は、胎児数、性別に加えて他の可能性のある交絡因子についても補正した後のLTLが、自然妊娠の出生児よりも短かった(ベータ、−0.36、P = 1.29 × 10−3)。特に、ARTによる妊娠の出生児では、胚盤胞期胚の移植は、より短いLTL長と関連していた(ベータ、−0.54、P = 2.69 × 10−3)。この関連は、異なるLTL定量化法(WGSあるいはqPCR)を用いて、5つのセンターのARTによる妊娠での出生児586人で検証された。マウスでは、胚盤胞期胚の移植によって、出生後1日(P=2.10x10−4)および6カ月齢(P=0.042)の時点で、テロメア長の短縮が見られた。マウス胚のin vitro培養では、卵割後期でのテロメア長の短縮は見られなかったが、初期胚盤胞期でのテロメラーゼ活性の抑制が見られた。我々の知見は、ARTで妊娠・出産した子どもではARTの長期にわたる影響、特に加齢に関係する表現型について、評価を行うことの必要性を示している。