Article

がん治療:転移性トリプルネガティブ乳がんでのアテゾリズマブとアントラサイクリンの併用をベースとする化学療法 ─ 無作為化二重盲検第2b相ALICE試験

Nature Medicine 28, 12 doi: 10.1038/s41591-022-02126-1

免疫チェックポイント阻害剤は、転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に効果があるとされているが、それはPD-L1陽性の場合のみである。無作為化プラセボ対照ALICE試験(NCT03164993、2017年5月24日)では、mTNBCでの免疫刺激化学療法へのアテゾリズマブ(抗PD-L1)の追加の影響が評価された。患者は、ペグ化リポソームドキソルビシン(PLD)、低用量シクロホスファミドとアテゾリズマブの組み合わせ(アテゾ-化学療法;n = 40)、もしくはプラセボとの組み合わせ(プラセボ-化学療法、n=28)の投与を受けた。主要評価項目は、プロトコル通りに投薬が行われた対象集団(アテゾリズマブについては投与が3回を超え、PLDについては2回を超える、n = 59)での無増悪生存期間の記述的評価と、最大の解析対象集団(FAS、治療を開始している全患者、n = 68)での安全性であった。投薬中止につながる有害事象は、アテゾ-化学療法群の患者の18%(7/40)およびプラセボ-化学療法群の患者の7%(2/28)で起こった。プロトコルに適合した対象集団中のアテゾ-化学療法群では、無増悪生存期間の改善〔中央値は、プラセボ-化学療法群が3.5カ月であるのに対し4.3 カ月、ハザード比(HR)= 0.57、95%信頼区間(CI)0.33–0.99、ログランク検定P = 0.047〕およびFAS(HR=0.56、95% CI 0.33–0.95、P = 0.033)が見られた。数的アドバンテージは、PD-L1陽性サブグループ(n = 27、HR = 0.65、95% CI 0.27–1.54)およびPD-L1陰性サブグループ(n = 31、HR = 0.57、95% CI 0.27–1.21)の両方で観察された。15カ月後の無増悪患者の割合は、アテゾ-化学療法群で14.7%(5/34、95% CI 6.4–30.1%)であったのに対し、プラセボ-化学療法群では0%であった。PLD/シクロホスファミドへのアテゾリズマブの追加は耐容性があり、臨床的有効性が示された。この知見は、免疫調節化学療法とPD1/PD-L1阻害剤の併用についてのさらなる調査を行う正当な理由となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度