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がん治療:腸のAkkermansia muciniphilaは進行性非小細胞肺がん患者でのPD-1遮断に対する臨床応答を予測する
Nature Medicine 28, 2 doi: 10.1038/s41591-021-01655-5
非小細胞肺がん(NSCLC)の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)に対する応答のバイオマーカーは、PD-L1発現以外にも必要である。我々は以前に行った後ろ向き研究で、糞便中のAkkermansia muciniphila(Akk)が、NSCLCもしくは腎臓がん患者でのICIの臨床的有効性と関連していることを報告した。本研究では、一次または二次治療としてICIを投与された進行性NSCLC患者(n = 338)の大規模コホートで、糞便Akkの予測値について前向き検証を行うために、ショットガンメタゲノミクスによるマイクロバイオームのプロファイリングを実施した。糞便Akk量のベースラインは、多変量解析で客観的奏効率の上昇および全生存期間の延長と関連が認められ、PD-L1発現、抗生物質、パフォーマンスステータスとは無関係だった。腸内のAkkは、Eubacterium halliiやビフィズス菌(Bifidobacterium adolescentis)などの片利共生菌の増加を伴っており、一部の患者では、炎症の程度がより高い腫瘍微小環境を伴っていた。しかし、抗生物質の使用(症例の20%)は、Akkの4.8%以上の相対的優位性[クロストリジウム属(Clostridium)を伴う]と相関していた。これらはどちらもICIに対する抵抗性と関連する。我々の研究は、Akkの相対的な存在量での有意な差異を示しており、これは今後の研究で患者層別化を改善するためのバイオマーカーになるかもしれない。