Brief Communication
COVID-19:mRNAブースターによる免疫はSARS-CoV-2オミクロン変異株に対して強力な血清中和活性を誘導する
Nature Medicine 28, 3 doi: 10.1038/s41591-021-01676-0
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)オミクロン変異株は、感染の急速な増加を世界中で引き起こしている。この新たな「懸念される変異株」では、ウイルススパイク糖タンパク質上にある中和抗体の重要なエピトープに非常に多数の変異が存在していて、このことは免疫回避の可能性を示唆している。本論文では、ワクチン接種者と回復期患者の長期コホート調査として、血清中和活性とオミクロン変異株に対するモノクローナル抗体活性をシュードウイルス中和アッセイを使って評価した。BNT162b2新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの2回接種者と回復期患者由来のポリクローナルな血清中では対オミクロン変異株中和活性がほぼ完全に欠如していること、また臨床で使用される多様なモノクローナル抗体に対して抵抗性があることが分かった。しかし、ワクチン接種者と回復期患者でmRNAブースター免疫処置を行うと、オミクロン変異株に対する血清中和活性が顕著に増加した。本研究によって、ブースター免疫がオミクロン変異株に対する液性免疫応答を大きく改善できることが実証された。