Brief Communication

COVID-19:CoronaVacにBNT162b2を追加する混合型ブースターワクチン接種後のSARS-CoV-2デルタ変異株およびオミクロン変異株に対する中和抗体

Nature Medicine 28, 3 doi: 10.1038/s41591-022-01705-6

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)オミクロン変異株が最近出現したことは、その高い伝播性やスパイクタンパク質にある多数の変異[新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンによって誘導される中和抗体を回避する可能性がある]のために懸念されている。本論文では、世界で広く使われている不活化ワクチンCoronaVacの2回の接種を受けた臨床試験参加者の液性免疫に、CoronaVacとは異なるBNT162b2 mRNAワクチンによるブースター接種が及ぼす影響を評価した。CoronaVacによる2回のプライム接種に続いて異なる種類のBNT162b2ワクチンをブースター接種する異種混合方式は、祖先ウイルスとデルタ変異株に対するウイルス特異的抗体レベルを上昇させ、強力な中和活性を誘導し、抗体価はmRNAワクチン2回接種後の値と同程度であることが分かった。オミクロン変異株の中和はCoronaVac 2回接種後の試験参加者では見られなかったが、BNT162b2をブースター接種すると、オミクロン変異株に対する中和活性がmRNAワクチン2回接種後と比較して1.4倍に上昇した。このような増加にもかかわらず、オミクロン変異株に対する中和抗体の抗体価は、祖先株とデルタ変異株の場合と比較すると、それぞれ7.1倍、3.6倍だけ低下した。我々の結果は、CoronaVac接種をこれまで用いてきた多数の国に直接的な関わりがあり、オミクロン変異株はワクチンもしくは感染によって誘導された免疫からの回避と関連付けられるという考えを裏付けるもので、今後も出現する変異株の影響に対処するためのワクチンブースターの世界的な必要性を明確に示している。

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