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臨床遺伝学:ヒト着床前胚での一般的疾患の全ゲノムリスク予測
Nature Medicine 28, 3 doi: 10.1038/s41591-022-01735-0
体外受精卵の着床前遺伝子検査(PGT)は、一般的な疾患の伝達を減少させる方法として提案されてきた。だが、よく見られるバリアントと希少なバリアントの影響を合わせた、胚のより包括的な遺伝的評価法はいまだ得られていない。本論文では、分子技術と統計技術を組み合わせて、110個の胚の遺伝的ゲノム塩基配列の確実な推測を行い、12種の一般的疾患にわたって感受性をモデル化した。5日齢の胚生検例で観察された多遺伝子リスクスコアリングに関連する部位の遺伝子型の正確度は99.0~99.4%、3日齢の胚生検例では97.2~99.1%だった。希少なバリアントを多遺伝子リスクスコア(PRS)と組み合わせると、きょうだい胚全体で予測された差異が拡大する。例えば、病因性BRCA1変異を有するカップルでは、BRCA1またはPRS単独のきょうだい間オッズ比(OR)が、4.5倍または3倍の差と予測されたのに対して、組み合わせた場合のORは15倍の差が予測された。我々の知見は、臨床診療でのゲノムベースのPGTの有用性と実施に関する議論を進める可能性がある。