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がん治療/腸マイクロバイオーム:腸マイクロバイオームは抗CD19 CAR T細胞療法後の奏功および毒性と相関している
Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01702-9
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は、ハイリスクの血液悪性腫瘍患者で前例のない奏功をもたらしている。しかし、患者の最大60%が疾患再発を経験しており、最大80%ではCARを介した毒性、すなわちサイトカイン放出症候群や免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群などが見られる。我々は、B細胞リンパ腫および白血病の患者の多施設研究を実施し、このような転帰での腸マイクロバイオームの役割を調べた。治療前の4週間に抗生物質に曝露していた後ろ向きコホート(n = 228)では、特にピペラシリン/タゾバクタム、メロペネム、イミペネム/シラスタチン(P-I-M)の場合、曝露が生存率の悪化や神経毒性の上昇と関連することが分かった。CAR T細胞レシピエント(n = 48)の前向きコホートで採取した糞便試料では、糞便マイクロバイオームを健常な対照群と比べると、ベースライン時点で変化が見られた。糞便試料について、16SリボソームRNA塩基配列解読とショットガンメタゲノム塩基配列解読によるプロファイリングを行ったところ、特定の細菌タクソンや代謝経路の違いが臨床転帰に関連していることが明らかになった。さらに、16S塩基配列データの非標的解析と仮説駆動型解析の両方によって、100日目の完全奏効と関連のある細菌種がClostridia綱内で見つかった。我々は、腸マイクロバイオーム内の変化が、B細胞悪性腫瘍患者での抗CD19 CAR T細胞療法後の臨床転帰と関連すると結論している。