Analysis

がん:がん患者での自殺リスクと死亡率

Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01745-y

この数十年でがん治療はかなり進歩したが、それにもかかわらず、がん患者の自殺リスクは高いままで推移している。個別研究のデータは包括的に定量化されておらず、特異的なリスク因子はまだはっきりしていない。今回我々は、がんの予後、病期、診断後の経過時間、性別、民族性、結婚状況、登録年度、地勢学的地域に従って自殺死亡リスクを評価した。我々は、2021年2月までの関連論文を、EMBASE、MEDLINE、PsycINFO、Web of Science、CINAHL、Google Scholarで検索した。そしてランダム効果モデルを用いてメタ回帰メタ分析を行い、I2検定、ファンネルプロット検定、Egger検定、Begg検定により不均一性と出版バイアスを評価した。全部で62件の研究と4695万2813人の患者を含んだ系統的レビューを行った。また、患者サンプルの重複を避けるために、2240万7690人のがん患者が参加した28件の研究に対してメタ解析を行った。その結果、一般集団と比較して、自殺死亡率の有意な上昇が認められた(標準化死亡比 = 1.85、95%信頼区間 = 1.55~2.20)。リスクはがんの予後、がんの病期、診断からの経過時間、地勢学的地域と強く関連していた。従って、がんの患者、特に特定のリスク因子を持つがん患者では、自殺傾向を注意深く監視すべきであり、短期的および長期的な自殺リスクを減らすために特別なケアが必要である。

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