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がん治療/WBRT:介入が期待されるS100A9/RAGE抵抗性機構に基づいた放射線感受性脳転移の層別化

Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01749-8

全脳放射線治療(WBRT)は、脳転移のある患者の多くに対する治療の主幹である。しかし、疾患進行防止でのその有効性とそれに付随する毒性のために、この方法の臨床的効果は疑問視されていて、これに代わる治療法が強く求められている。脳転移などの患者に使用可能な治療選択肢は限られており、転移病変のWBRTに対する抵抗性の基盤となる分子機構はほとんど分かっていないことから、我々は介入対象となり得る標的と患者選択の改善に役立つバイオマーカーの探索を行った。WBRT抵抗性の転移性脳腫瘍の実験的in vivoモデルでの不偏解析により、脳転移ではS100A9–RAGE–NF-κB–JunB経路の活性化が、脳での抵抗性のメディエーター候補であることが明らかになった。この経路を遺伝学的または薬理学的に標的化するだけで、WBRTの抵抗性が失われ、低線量の放射線照射でin vivoでの治療効果が高まった。原発性の黒色腫や肺腺がん、乳腺がんから発生した脳転移を持つ患者では、脳病変内の内因性S100A9レベルがWBRTに対する臨床応答と相関しており、血中S100A9レベルが非侵襲的バイオマーカーとなる可能性が明らかになった。まとめると本研究は、WBRTを個別化し、治療効果と毒性のバランスを取る放射線増感剤と組み合わせることでWBRTの有効性を改善するための分子的枠組みを示している。

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