がん治療:非小細胞肺がんでアテゾリズマブに対するバイオマーカーとなる血中腫瘍遺伝子変異量 ─ 第2相B-F1RST試験
Nature Medicine 28, 5 doi: 10.1038/s41591-022-01754-x
血中循環腫瘍DNA(ctDNA)中の腫瘍遺伝子変異量(TMB)は、PD-L1/PD-1阻害剤の効果予測に使える可能性が後向き研究で示されている。我々は血中TMB(bTMB)の前向き評価を目的として非盲検第2相試験であるB-F1RST(NCT02848651)を行い、局所進行性またはステージIIIB-IVBの転移性非小細胞肺がん(n = 152)で第一選択薬アテゾリズマブ単剤療法の予測バイオマーカーとしてbTMBを評価した。2つの主要評価項目は、治験担当医師がRECIST 1.1版に基づいて評価した客観的奏効率(ORR)と、事前に定めたbTMB ≥ 16(メガ塩基当たり14.5変異)のカットオフ値で分けたbTMB高サブグループとbTMB低サブグループの間で治験担当医師が評価した無増悪生存率(PFS)であった。副次評価項目には、治験担当医師が評価したPFS、全生存期間(OS)、さまざまなbTMBカットオフ値での奏効期間に加えて、安全性が含まれていた。bTMB ≥ 16群とbTMB < 16群で治験担当医師が評価したPFSの間に統計的な有意差はなかった。しかし、bTMB ≥ 16群はより高いORRと関連があり、bTMBカットオフ値が高い方がORRは改善された。安全性を示す新しいシグナルは見られなかった。探索的解析では、最大体細胞対立遺伝子頻度(MSAF:maximum somatic allele frequency)が < 1%の患者は、MSAF≥1%の患者と比べるとORRが高かった。しかし、さらなる解析から、この影響はMSAF自体ではなく、ベースライン時の予後特性がより優れていたことで引き起こされたと分かった。36.5か月目の追跡調査では、OSの探索的解析でbTMB ≥ 16群はbTMB < 16群よりも長いOSと関連していた。bTMBを免疫療法の独立した予測バイオマーカーとして、あるいは他のバイオマーカーと組み合わせて使用するために開発する際には、さらなる研究と分析の最適化が必要だと考えられる。