人工知能:人工知能駆動型意思決定支援システムの初期段階臨床評価のための報告様式ガイドライン ─ DECIDE-AI
Nature Medicine 28, 5 doi: 10.1038/s41591-022-01772-9
人工知能(AI)をベースとする臨床意思決定支援システムの数が増え続けていることは、in silicoでの前臨床評価が有望な成績を上げていることを示しているが、患者ケアに実際に役立っていることを実証した例はまだ少ししかない。初期段階での臨床的評価は、AIシステムが臨床で小さいスケールで行った実際の成績を評価し、その安全性を確かめ、その利用に関わる人的要因を評価し、さらに大規模な試験への道を開くために重要である。だが、このような初期研究の報告にはまだ不適切なものが多い。このステートメントでは、DECIDE-AI(Developmental and Exploratory Clinical Investigations of DEcision support systems driven by Artificial Intelligence)のための、複数の利害関係者の合意に基づく報告様式ガイドラインを示す。我々は修正を加えた2ラウンドのデルファイ法を実施し、AIシステムの初期臨床評価の報告について、専門家の意見の収集と解析を行った。専門家は事前に定義した20の利害関係者カテゴリーから採用された。ガイドラインの最終構成と文言は、バーチャルコンセンサス会議で決定された。そのチェックリストと説明および詳細(E & E:Explanation & Elaboration)セクションは、質的評価過程からのフィードバックに基づいて推敲された。全体で、このデルファイ法の第1ラウンドには123人、第2ラウンドには138人、コンセンサス会議には16人、質的評価には16人の専門家が参加した。このDECIDE-AI報告用ガイドラインは、AI独特の17の報告項目(28の副項目を含む)と10の一般的報告項目で構成され、それぞれに対するE & E項目が付け加えられている。さまざまな利害関係者との協議と合意を経て、我々はヘルスケアにおけるAIベースの意思決定支援システムが初期段階の臨床研究で報告すべき重要な項目から構成されたガイドラインを作成した。最小限の報告項目からなる実施可能なチェックリストを提供することで、DECIDE-AIガイドラインによるこのような研究の評価と得られた知見の再現が容易になるだろう。