関節リウマチ:関節リウマチでのリツキシマブとトシリズマブの比較 ─ 第4相R4RA無作為化試験の滑液生検ベースのバイオマーカー解析
Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01789-0
関節リウマチ(RA)の患者は、その病変組織での標的の発現レベルに関する事前情報なしで、高度に標的化された生物学的療法を受ける。患者の約40%は個別の生物学的療法に応答せず、5~20%の患者は全ての生物学的療法に反応が見られない。RAでの生検ベース精密医療無作為化臨床試験(R4RA、n = 164)では、滑液B細胞の分子シグネチャーがないか低い患者のトシリズマブ(抗IL6Rモノクローナル抗体)に対する応答性は、リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)に対する応答性に比べて低かったが、応答/非応答の詳しい機構についてはまだ明らかになっていない。今回我々は、R4RA滑液生検の詳細な組織学的および分子的解析により、リツキシマブおよびトシリズマブへの応答に関連する液性免疫応答遺伝子シグネチャーと、全ての薬剤に抵抗性のある患者の間質細胞・繊維芽細胞シグネチャーを明らかにした。治療後の滑液遺伝子発現と細胞浸潤の変化から、異なる応答機構あるいは非応答機構に関係するリツキシマブとトシリズマブの多様な影響が明らかになった。10x10倍の入れ子交差検証を用いて、対リツキシマブ応答性〔曲線下面積(AUC) = 0.74〕、対トシリズマブ応答性(AUC = 0.68)、それに多剤抵抗性(AUC = 0.69)を予測する機械学習アルゴリズムを開発した。今回の研究は、病変組織で多様な分子病理学的経路によって生じる疾患エンドタイプが、多様な臨床応答や治療応答の表現型を決定するという考えを裏付けている。また、分子病理学的シグネチャーを臨床アルゴリズムに統合することで、既存の薬剤の今後の使用を最適化し、難治性疾患患者に対する新薬の開発に情報提供することの重要性も明確にしている。