糖尿病:1型糖尿病でのクローズドループインスリン送達システムへのエンパグリフロジン追加療法 ─ 2×2因子無作為化クロスオーバー試験
Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01805-3
1型糖尿病ではクローズドループインスリン自動送達システムを最適化する必要がある。我々はクローズドループシステムによるインスリン送達への追加療法として、エンパグリフロジン25 m d−1投与の血糖への効果と安全性を評価した。成人を対象に、クローズドループ送達対センサー付きポンプ(SAP)療法、エンパグリフロジン対プラセボを4週間にわたって比較する、2 × 2因子無作為化プラセボ対照クロスオーバー2施設試験が行われた。主要評価項目はグルコース目標値(3.9〜10.0 mmol l-1)のTIR(time in target range)とした。主要比較項目は、クローズドループまたはSAP療法での追加されたエンパグリフロジン対プラセボとし、残りの比較項目は有意性により決定した。無作為に分けられた27人の参加者のうちの24人で最終分析が行われた。エンパグリフロジン追加は、プラセボ追加と比較すると、TIRをクローズドループ療法で7.2%、SAP療法で11.4%改善した。クローズドループ療法へのエンパグリフロジン追加でのTIRには、SAP療法へのエンパグリフロジン追加と比べると6.1%の改善が見られたが、SAP療法へのプラセボ追加との比較では17.5%の改善となった。いずれの介入の際にも、糖尿病性ケトアシドーシス、または重度低血糖は発生しなかったが、エンパグリフロジン追加では合併症を伴わないケトーシス事象がより頻繁に観察された。自動インスリン送達にエンパグリフロジンを追加する(25 mg d−1)療法はプラセボ追加の場合と比べると、血糖コントロールは改善されるが、ケトン体濃度とケトーシスは増加する。