膵管腺がん:転移性膵がん一次治療での化学療法とソチガリマブ、ニボルマブの併用 ─ 無作為化第2相PRINCE試験での臨床的および免疫学的解析
Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01829-9
化学療法と免疫療法の組み合わせは一部の固形腫瘍の治療法を改善したが、膵管腺がん(PDAC)に対しては効果的な投薬法がまだ見つかっていない。今回我々は、一次治療中の転移性PDAC患者で、ニボルマブ(nivo;抗PD-1)またはソチガリマブ(sotiga;CD40アゴニスト抗体)、もしくはこの両方をゲムシタビン/nab-パクリタキセル(chemo;化学療法)と併用する療法の有効性を評価する無作為化第2相試験を行った(NCT03214250)。有効性の解析が行われた105人の患者では、主要評価項目の1年全生存(OS)率は、nivo/chemo群で満たされたが(57.7%、既存対照の1年OS率35%と比較した場合のP = 0.006、n = 34)、sotiga/chemo群(48.1%、P = 0.062、n = 36)、あるいはsotiga/nivo/chemo群(41.3%;P = 0.223、n = 35)では満たされなかった。副次評価項目は、無増悪生存期間、客観的奏効率、病勢制御率、奏効期間、安全性であった。治療に関連する有害事象の発生率は各群で同程度であった。マルチオミクスによる血液および腫瘍のバイオマーカー解析により、nivo/chemo群とsotiga/chemo群の生存に関連する免疫シグネチャーが異なることが明らかになった。nivo/chemo治療後の生存は、腫瘍微小環境の抑制性の低さと、抗原に遭遇して活性化された血中T細胞のベースラインでの数の多さに相関していた。sotiga/chemo治療後の生存は、腫瘍内へのCD4 T細胞の浸潤増加や血中の分化したCD4 T細胞と抗原提示細胞の数の多さと相関していた。sotiga/nivo/chemo治療で効果が見られた患者サブセットは見つからなかった。まとめると、これらの解析は、治療特異的な有効性の相関物の有望な候補を示唆しており、PDACの化学免疫療法に関する今後の臨床試験は、バイオマーカーを使って選抜された患者集団で行えるかもしれない。