Brief Communication
遺伝的リスクスコア:遺伝的リスクスコアのアフリカ系集団でのトランスフェラビリティー
Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01835-x
ヨーロッパ系祖先を持つ集団のデータから得られた遺伝的リスクスコア(GRS)は多様な集団でトランスフェラビリティーが低く、懸念材料となっている。今回我々は、アフリカ系アメリカ人のデータから得られたGRSや多祖先系データから得られたGRSは、ヨーロッパ系集団由来のスコアに比べて、サハラ以南アフリカ(SSA)でより高いトランスフェラビリティーが見られるのかどうかを評価した。米国のMillion Veteran Program(MVP)の要約統計量を使って、アフリカ系アメリカ人のデータから得られたGRSは、ヨーロッパ系や多祖先のスコアよりも、SSAでの脂質形質に関する多遺伝子予測を向上させることが明らかになった。しかし、我々のGRS予測は、SSA内の南アフリカ共和国のズールー人コホートとウガンダ人コホートで大きく異なっており、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)について、それぞれR2 = 8.14%とR2 = 0.026%だった。これらの集団グループ間の遺伝因子と環境因子の違いが、SSA内でのGRSのトランスフェラビリティーの低さにつながっているかもしれないと、我々は考えている。アフリカにおける多遺伝子予測を最適化するためには、さらなる取り組みが必要である。