COVID-19:COVID-19後疾患の多系統心腎症候群研究
Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01837-9
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後症候群の病態生理学的性質や経過についてはよく分かっていない。我々は多系統の関与を明らかにするために、COVID-19で入院した患者を含む前向きコホート研究を開始した(ClinicalTrials.gov ID NCT04403607)。シリアル血液バイオマーカー、デジタル心電図記録、患者報告転帰尺度は、入院中と退院後28~60日に取得され、退院後には肺血管造影と冠動脈造影による胸部コンピューター断層撮影と心腎磁気共鳴画像を用いた多臓器画像も同時に取得された。長期的な臨床転帰は電子健康記録を用いて評価した。対照群(n = 29)に比べて、退院後28~60日の時点のCOVID-19患者群(n = 159、平均年齢55歳、女性43%)では、心腎連関症状とうっ血経路活性化の持続的な証拠が認められた。心筋炎の可能性の判定は、21人(13%)で「非常に高い」、65人(41%)で「高い」、56人(35%)で「低い」、17人(11%)で「なし」となった。退院後28~60日の時点で、COVID-19は健康に関連した生活の質の低下〔EQ-5D-5Lスコア0.77(0.23)対0.87(0.20)〕、不安とうつ〔PHQ-4総合スコア3.59(3.71)対1.28(2.67)〕、予測最大酸素利用率を反映する有酸素運動能力〔20.0(7.6)対29.5(8.0)ml/kg/min〕と関連していた(いずれもP < 0.01)。追跡調査中(平均450日)に、24人(15%)の患者と対照群の2人(7%)が死亡または再入院し、108人(68%)の患者と対照群の7人(26%)が外来の二次治療を受けた(P = 0.017)。COVID-19で入院後の患者の疾患経過には、持続的な多系統異常や健康障害が含まれ、これらは将来的にヘルスケアサービスの必要性をかなり増大させる可能性がある。