黒色腫:高リスクIII期黒色腫でのイピリムマブとニボルマブによるネオアジュバント療法後の奏効性に応じて個別化された手術とアジュバント療法 ─ PRADO試験
Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01851-x
ネオアジュバントのイピリムマブとニボルマブは、臨床病期IIIのリンパ節黒色腫で高い病理学的奏効率(pRR)を誘導し、病理学的奏効は無再発生存期間(RFS)の長さと強く関連する。OpACIN-neo試験(NCT02977052)のPRADO拡張コホートでは、イピリムマブとニボルマブによるネオアジュバント療法後の病理学的奏効性を、その後の治療個別化の基準として用いることの実現可能性と臨床転帰に対する影響について検討した。試験には合計で99人の臨床病期IIIb~dのリンパ節黒色腫患者が含まれ、イピリムマブ1 mg kg−1とニボルマブ3 mg kg−1による6週間のネオアジュバント療法が行われた。指標リンパ節(ILN、ベースラインで最大のリンパ節転移)で病理学的著効(MPR、残存腫瘍10%以下)が得られた患者では、治療的リンパ節郭清(TLND)とアジュバント療法は除かれた。病理学的部分奏効(pPR、残存腫瘍は10%より多く50%以下)の患者では、TLNDのみが行われ、病理学的無奏効(pNR、残存腫瘍は50%より多い)の患者では、TLNDと全身アジュバント療法±同時放射線療法が行われた。主要評価項目は、OpACIN-neoで最良と確認されたネオアジュバント併用療法のpRRの確認(6週目のILN)、MPRが達成された患者ではTLNDを安全に省けるかどうかの確認、pNRの患者で24か月目のRFSに改善が見られるかどうかの確認とした。ILN切除とILN奏効性に合わせた治療は実現可能だった。pRRは72%で、61%のMPRが含まれる。最初の12週間でのグレード3~4の毒性は、22人(22%)の患者で観察された。TLNDはMPR患者の60人中59人で省略され、外科手術が引き起こす病的状態は大幅に少なくなり、生活の質が向上した。24か月間の無再発生存率と無遠隔転移生存率はそれぞれ、MPRの患者では93%と98%、pPRの患者では64%と64%、pNRの患者では71%と76%となった。これらの知見は、イピリムマブとニボルマブのネオアジュバント療法後の奏効に応じた治療個別化を検討するための無作為化臨床試験の施行に対する強い理論的根拠を提供する。