敗血症早期警告システム:機械学習ベースの早期警告システムTREWSの医療従事者による採用を促す要因とこのシステムが敗血症の治療タイミングに与える影響
Nature Medicine 28, 7 doi: 10.1038/s41591-022-01895-z
敗血症に対する臨床での意思決定を支援する機械学習ベースの装備は、危険な状態にある患者を見つけ出す機会を作りだして、早い時点で治療を開始させる。こうしたことは敗血症の転帰改善に極めて重要である。このようなシステムの使用が増えていることを考慮すれば、これらが医療従事者によってどのようにして採用され、どのように使用されているのかをよりよく理解することが必要となっている。敗血症早期発見装置の1つであるTREWS(Targeted Real-time Early Warning System)は、2年間で5つの病院に導入された。今回我々は医療従事者とTREWSとの関わり方について解析を行った。さかのぼって見つかった9805の敗血症症例に対して、この早期発見装置は高い感受性(82%の敗血症症例を見つけ出した)と、高い採択率を達成した。このシステムが発した全アラートの89%は、医師またはAPP(advanced practice provider)によって評価が行われ、評価が行われたアラートの38%が医療従事者により確認された。患者の症状と重症度を補正した上で、医療従事者が3時間以内にアラートを確認した敗血症患者では、最初の抗生物質投与指示までの中央値が、アラートが却下された、あるいは3時間以上経ってから確認された、またはこのシステムで対処されなかった敗血症患者と比較すると、1.85時間(95%CI 1.66–2.00)短縮されていた。また、救急治療室の医療従事者や、以前にアラートに対応した経験のある医療従事者は、アラートに対応する傾向が強いだけでなく、さかのぼって見つかった敗血症患者のアラートを確認する可能性が高いことが分かった。このようなシステムが臨床に影響を及ぼすには、早期警告システムの性能を改善する取り組みの他に、このような装置の採用を改善するための努力が不可欠であり、このようなシステムに関する医療従事者の知識やこうした装置へ対応する経験を理解することにも重点を置くべきだろう。