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HIV-1:抗体によるHIV-1感染予防のための中和力価バイオマーカー
Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01953-6
広域中和抗体(bnAb)のVRC01がVRC01感受性のヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)の感染を防止することが、Antibody Mediated Prevention(AMP)試験によって示された。本論文では、AMP試験のデータを使って、個人の血清中の抗体のHIV-1単離株に対する中和能を定量する80%阻害希釈力価(PT80)というバイオマーカーが、HIV-1予防効果の予測に使用できることを示す。非ヒト霊長類研究の結果と同様に、曝露されると予想されるウイルス集団に対して平均で200というPT80(in vitroで感染を80%まで減少させるのに必要な濃度の200倍以上のbnAb濃度を意味する)が、このようなウイルスの感染を90%予防するのに必要であると推定された。この結果に基づき、流行中のウイルスの90%に対して持続的にPT80を<200にするという目標は、生物工学によって半減期を長くした有望なbnAb療法によって達成できると我々は考えている。PT80バイオマーカーはbnAb療法評価の代理評価項目となり、またbnAb誘導性ワクチン候補のベンチマーキングに使えると考えられる。