Analysis

心不全:全ての範囲の駆出率の心不全患者におけるダパグリフロジン ─ DAPA-HF試験およびDELIVER試験の患者レベルpooled meta-analysis

Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01971-4

心不全患者において、ナトリウム–グルコース共輸送体2阻害剤であるダパグリフロジンが、さまざまな罹患および死亡のリスクを、駆出率にかかわらず低下させるかどうかは分かっていない。左室駆出率の範囲が異なる(40%以下と40%超)心不全患者でダパグリフロジンの効果が検討された2つの臨床試験の患者レベルpooled meta-analysisでは、事前に設定されていて、どちらの試験も単独では検出力がなかった評価項目に対する治療効果の検討と、ダパグリフロジンが全ての範囲の駆出率で一貫した効果を示すかどうかの検討が行われた。事前に設定された評価項目は、心血管死、全死亡、心不全による総入院、および心血管死・心筋梗塞・脳卒中の複合エンドポイント〔主要有害心血管イベント(MACE)〕である。合計11,007人の患者が含まれ、平均駆出率は44%(s.d. 14%)であった。ダパグリフロジンは、心血管死〔ハザード比(HR)0.86、95%信頼区間(CI)0.76–0.97、P = 0.01)、全死亡(HR 0.90、95%CI 0.82–0.99、P = 0.03)、心不全による総入院(rate ratio 0.71、95%CI 0.65–0.78、P < 0.001)、およびMACE(HR 0.90、95%CI 0.81–1.00、P = 0.045)のリスクを低下させた。ダパグリフロジンの効果が駆出率によって異なるという証拠はなかった。心不全患者における全ての範囲の駆出率を含む患者レベルpooled meta-analysisでは、ダパグリフロジンは心血管死のリスクと心不全による総入院のリスクを低下させた(PROSPERO:CRD42022346524)。

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