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ウエアラブル技術:日常生活での活動の全身的動きをウエアラブルデバイスを用いて追跡することでデュシェンヌ型筋ジストロフィーの疾患経過を予測する
Nature Medicine 29, 1 doi: 10.1038/s41591-022-02045-1
人工知能はヘルスケアに大きな変革をもたらす可能性がある。しかし神経疾患の薬剤開発の臨床試験は、主観的で半定量的、動機依存的な主要評価項目に依存し続けている。こうした限界を打破するために、我々はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者(n = 21)と、患者に年齢を対応させた対照者(n = 17)で、全身運動行動のデジタル読み出しを収集した。運動行動の評価は、12カ月の試験期間に3回あった通院の際に、参加者に17個のセンサーがついたボディスーツを着用して日常的な活動をしてもらうことで行った。我々はまず、DMDと対照群を区別できる運動行動フィンガープリントを新たに定義した。次に、行動フィンガープリントを組み入れた機械学習アルゴリズムを用いて、横断的および縦断的な疾患経過予測を作成し、これは現在用いられている臨床評価からの予測よりも優れていた。さらに、ベイズ最適化により行動バイオマーカーを構築し、KineDMD ethomicバイオマーカーと命名した。これは日常生活の行動データから導出されたもので、その数値は年齢とともにS字型のシグモイド曲線を描きながら増加する。本研究で開発したバイオマーカーは、日常生活の運動行動のデジタル読み出しから生成したものであり、筋ジストロフィー患者の疾患経過を予測することができ、治療応答を追跡できる可能性がある。