COVID-19:ヒト白血球抗原対立遺伝子はCOVID-19ワクチンの免疫原性およびブレークスルー感染のリスクと関連する
Nature Medicine 29, 1 doi: 10.1038/s41591-022-02078-6
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)ワクチンの免疫原性は個人間で差異があり、免疫応答はワクチンの有効性と相関する。英国でのChAdOx1 nCov-19ワクチンの有効性試験に登録された1076人の参加者のデータを用いて、我々は最初のワクチン接種後28日目でのSARS-CoV-2スパイクタンパク質およびその受容体結合ドメイン(RBD)に対する標準化した抗体応答における個人間の変動が、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスII対立遺伝子とゲノム全体にわたって有意な相関性を示すことを見いだした。高レベルの抗RBD抗体と統計学的に最も有意な相関があったのは、HLA-DQB1*06(P = 3.2 × 10−9)であり、これは追加の1677名のワクチン接種者で再現された。HLA-DQB1*06対立遺伝子の保有者は、SARS-CoV-2の祖先株ウイルスやその後のアルファバリアントの大流行の際に、PCRで確定されたブレークスルー感染を経験した可能性が、非保有者に比べて低かった(ハザード比 = 0.63、0.42–0.93、P = 0.02)。我々は、他の類似の対立遺伝子と比較した場合、HLA-DQB1*06に異なった結合をすると予想される、異なるスパイク由来ペプチドを明らかにし、HLA-DQB1*06保有者でのスパイク特異的な記憶B細胞応答が、最初のワクチン接種後84日目に増強されることの証拠を得た。我々の結果は、HLAのタイプが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンによる抗体応答やブレークスルー感染のリスクと相関することを実証しており、将来のワクチン設計やその実施に影響を及ぼす。