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大腸がん:大腸がん患者での分子残存病変と術後補助化学療法の有効性
Nature Medicine 29, 1 doi: 10.1038/s41591-022-02115-4
切除可能な大腸がん(CRC)患者では、標準治療にもかかわらず、30%以上が再発する。血中循環腫瘍DNA(ctDNA)解析を行うことで、術後のリスク層別化や術後補助化学療法(ACT)による治療の意思決定ができる可能性がある。本論文では、進行中のCIRCULATE-Japan研究(UMIN000039205)の観察群であるGALAXY試験の結果を報告する。この試験では、切除可能CRCのステージII~IVの患者(n = 1039)で術前および術後のctDNAの解析を行った。このコホートでは、追跡期間の中央値が16.74カ月(0.49~24.83カ月の範囲)であり、また、術後のctDNA陽性(術後4週目)が高い再発リスクと関連していて(ハザード比〔HR〕10.0、P < 0.0001)、これはステージIIあるいはIIIのCRC患者の再発リスクと関連する最も有意性の高い予後因子であった(HR 10.82、P < 0.001)。さらに、術後のctDNA陽性により、ACTが有効なステージIIあるいはIIIのCRC患者が見つかった(HR 6.59、P < 0.0001)。切除可能なCRCでのctDNAの大規模かつ包括的な前向き解析である我々の研究の結果は、再発リスクが高く、ACTが有効となる可能性の高い患者を見つけ出すのにctDNA検査を使うことの裏付けとなる。